2026年10月21日 ・ 読了目安 6 分
運営指導で契約書・重要事項説明書は何を見られる?|確認項目と電子保管の見せ方
介護の運営指導で、契約まわりとして確認されるのは、重要事項説明書(利用申込者の同意があったことがわかるもの)と利用契約書です。 確認項目は、説明を行っているか、同意を得ているか、重要事項説明書の内容に不備等はないか、の3点です。 電子で管理している文書は、画面上で確認し、印刷した書類の提出は求めないものとされています。 この記事では、厚生労働省の運営指導マニュアルと別添の原文で確認できた範囲に絞って整理します。
運営指導では、契約まわりの何を確認されますか?
厚生労働省の「介護保険施設等運営指導マニュアル」の別添「確認項目及び確認文書」(介護保険最新情報 Vol.1288、令和6年7月)は、サービス種別ごとに、確認する項目と、確認に使う文書の例を表にしています。 契約まわりは「内容及び手続の説明及び同意」の行です。原文で確認できた5種別を並べます。
| サービス種別(別添の番号・条) | 確認項目 | 確認文書として例示されているもの |
|---|---|---|
| 訪問介護(101・第8条)。通所介護(106・第8条)も同じ書きぶり | 利用申込者またはその家族への説明を行っているか/利用申込者の同意を得ているか/重要事項説明書の内容に不備等はないか | 重要事項説明書(利用申込者の同意があったことがわかるもの)/利用契約書 |
| 居宅介護支援(201・第4条) | 重要事項を記した文書を利用申込者またはその家族へ交付し、説明を行い、同意を得ているか/重要事項説明書の内容に不備等はないか | 重要事項説明書(利用申込者の同意があったことがわかるもの)/説明に対して利用申込者の理解を得られたことがわかるもの(例:利用申込者の署名文書)/利用契約書 |
| 介護老人福祉施設(301・第4条) | 入所(入居)申込者またはその家族への説明を行っているか/入所(入居)申込者の同意を得ているか/重要事項説明書の内容に不備等はないか | 重要事項説明書(入所(入居)申込者の同意があったことがわかるもの)/入所契約書 |
| 特定施設入居者生活介護(110・第178条、第192条の7) | 入居申込者またはその家族への説明を行い、入居と介護サービスの提供に関する契約を文書により締結しているか/重要事項説明書の内容に不備等はないか | 重要事項説明書/入居及び指定特定施設入居者生活介護の提供に関する契約書 |
訪問入浴介護(102)、訪問看護(103)、訪問リハビリテーション(104)、居宅療養管理指導(105)、通所リハビリテーション(107)、福祉用具貸与(111)にも、訪問介護と同じ書きぶりの行がありました。 提供しているサービスの番号は、別添の目次から探せます。
確認文書は、例示された文書をすべてそろえる必要がありますか?
別添の冒頭(「はじめに」)に、2つの注記があります。
- 複数の文書が例示されていても、その1つを確認することで目的が達成される場合は、複数の文書を求めることは要しないと考えられる、とされています。
- 確認文書として例示されていても、運営基準に明記されていない文書は、提出がなくても基準違反にはならない、とされています。
契約書の扱いは、サービスによって条文が異なります。 訪問介護の第8条(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準・平成11年厚生省令第37号)は、重要事項を記した文書の交付、説明、同意を定めていて、条文に「契約」の語は出てきません。 一方、特定施設入居者生活介護の第178条は、入居と介護サービスの提供に関する契約を文書により締結することを求めています。 事業所が提供するサービスの条文を、一度読んでおくと安心です。
電子で保管している契約書・重要事項説明書は、どう見せればよいですか?
運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)の第2章第3節5「運営指導に関する留意点」に、電磁的記録の扱いが書かれています。要点は次のとおりです。
| 管理の仕方 | マニュアルの扱い |
|---|---|
| 電磁的記録で管理している | ディスプレイ上で内容を確認する。別途、印刷した書類の準備や提出は求めないようにする。行政の担当者が、事業所の担当者の説明を受けながら、画面に映した文書を閲覧する方法で確認する |
| 電磁的記録で管理しつつ、印刷して紙でも管理している | 紙を確認してもよい。ただし、画面の内容と印刷物を突合しなければ、厳密には確認したことにならない |
| 電磁的記録として作成するが、すべて印刷した紙で通常管理している | ディスプレイ上で確認する方法の対象から除かれる |
つまり、電子で署名や同意を受けた場合は、利用者名から契約書・重要事項説明書・同意の記録をすぐに開ける状態にしておくことが、運営指導の場での見せ方になります。 電子での交付や承諾の条件は、重要事項説明書の電子交付の記事で整理しています。
どの期間の、何人分の文書を見られますか?
マニュアルが示している運営指導の進め方のうち、文書の確認に関わる部分は次のとおりです。
| 項目 | マニュアルの記述 |
|---|---|
| 実施の通知 | 実施予定日のおおむね1月以上前までに、実施する旨を通知する(緊急時は、事前の通知なしに開始時に文書で通知する場合もある) |
| 確認する文書の期間 | 運営指導を行う年度の前年度から、直近(おおむね1月程度前まで)の実績に係るものを対象にする。状況に応じて、その範囲の一部の期間のみを対象にすることもできる |
| 利用者の記録の人数 | 特に必要と判断する場合を除き、原則として3名以内。居宅介護支援事業所は、介護支援専門員1人あたり1名から2名 |
| 事前提出資料 | 行政の担当者の人数分を用意させず、提出は1部のみ。自治体が既に保有している文書は、改めて提出を求めない |
| 実施の頻度 | 指定の有効期間(6年)中に1回以上。居住系サービスと施設サービスは、3年に1回以上が望ましい |
訪問介護の第39条第2項は、完結の日から2年間の保存を求める記録として、訪問介護計画、サービスの提供記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知の記録、苦情の記録、事故の記録を挙げています。 契約書と重要事項説明書は、この列挙に入っていません。 マニュアルは、文書の保存年限を自治体が2年から5年程度に定めている場合が多いと述べています。 保存期間と、事前提出の様式は、事業所を指定した自治体の定めを確認してください。
運営指導の前に、事業所で何を点検しておけばよいですか?
確認項目の文言から読み取れる点検を、5つにまとめます。
- 1直近の新規契約の利用者3名分を、利用者名からすぐ開けるようにする。確認される利用者は原則3名以内です。重要事項説明書と契約書を、同じ利用者のものとして並べて出せる状態にします。
- 2重要事項説明書で、同意があったことがわかるか見る。確認文書の指定は「利用申込者の同意があったことがわかるもの」です。署名や同意の記録が、重要事項説明書に付いているか確かめます。
- 3説明と同意が、サービス提供の開始より前になっているか見る。第8条第1項は、提供の開始に際し「あらかじめ」説明して同意を得ることを求めています。
- 4重要事項説明書の内容を、運営規程と照らし合わせる。第8条第1項は、運営規程の概要を記した文書を交付して説明することを求めています。営業日・営業時間、利用料、通常の事業の実施地域などを改定したときは、重要事項説明書も直します。
- 5電子で交付や署名を受けた分は、承諾の記録も一緒に開けるようにする。電磁的方法で提供するには、利用申込者またはその家族の承諾が必要です。承諾を得た事実が、記録から追えるようにしておきます。
トリカワスでは、どこまでできますか?
トリカワスは、契約書・重要事項説明書・同意書を、PDF や Word のまま登録して使う電子サインのサービスです。 事業所の控えは PDF で保管され、利用者名や締結日で探して開き、印刷できます。 運営指導で何を確認されるかは、事業所を指導する自治体の判断によります。この記事は、国のマニュアルが示している範囲です。 料金は建物1棟あたり月額4,980円(税込)で、30日間は無料です。
出典・確認日
- ・厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1288(令和6年7月5日)「介護保険施設等運営指導マニュアルについて(通知)」の一部改正について(別添「確認項目及び確認文書」101・106・110・201・301ほか)
- ・厚生労働省 介護保険施設等運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)第2章第3節「運営指導」ほか
- ・e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)第8条・第29条・第39条・第105条・第178条
- ・厚生労働省 介護保険最新情報掲載ページ(2026年10月21日時点の一覧に、Vol.1288より新しい運営指導マニュアルの改正通知は見当たらない)
本記事の制度に関する記述は 2026-10-21 時点で公開されている情報に基づきます。制度・様式は変わることがありますので、最新の内容は発出元と、指定を受けている都道府県・市町村でご確認ください。