2026年10月29日 ・ 読了目安 8 分
介護報酬の改定で、重要事項説明書は再説明・再同意が必要?|国のQ&Aと通知
介護報酬の改定で利用料金が変わるとき、国は、重要事項説明書の変更について、利用者への説明と同意を求めています。令和6年度改定のQ&A(問181)は、「改定に伴う重要事項(料金等)の変更については、変更前に説明していただくことが望ましい」とし、6月施行の見直しは「5月末日までに、利用者又はその家族に対して丁寧な説明を行い、同意を得る必要がある」と答えています。運営基準(平成11年厚生省令第37号)の第8条は提供の開始に際しての説明と同意を定めた条文で、変更するときの手続は書かれていません。 署名・捺印を求めない例を示した通知(Vol.740)もありますが、その通知は令和元年10月の消費税率引上げに伴う改定に限った扱いです。 この記事では、国のQ&Aと通知、久留米市・兵庫県の原文で確認できた範囲に絞って整理します。
介護報酬が改定されたとき、重要事項説明書の変更に説明と同意は必要ですか?
訪問介護の条文を例に、国の条文・Q&A・通知と、2つの自治体の文書で確認できたことを並べます。
| 出典 | 書かれていること |
|---|---|
| 運営基準 第8条第1項(訪問介護) | 提供の開始に際し、あらかじめ、重要事項を記した文書を交付して説明を行い、同意を得なければならない。内容を変更するときの手続は書かれていない |
| 解釈通知(老企第25号)第3の一の3(2) | 同意については、利用者及び指定訪問介護事業者双方の保護の立場から、書面によって確認することが望ましい |
| 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A Vol.1(問181・令和6年3月15日) | 改定に伴う重要事項(料金等)の変更は、変更前に説明することが望ましい。4月施行分は、3月中の説明が難しいやむを得ない事情があれば、4月1日以降速やかに説明して同意を得てもよい。6月施行分は5月末日までに説明して同意を得る必要がある |
| 介護保険最新情報 Vol.740(令和元年9月18日) | 重要事項説明書は、内容の変更を行う場合、あらためて説明を行い、同意を得ることが適切と考えられる。令和元年10月の改定に限り、改定表を配付して説明する対応の例を示している |
| 久留米市 5介保第7616号(令和6年3月15日) | 令和6年度の報酬改定に限り、継続利用者に新しい重要事項説明書の交付と再契約は不要。ただし、丁寧な説明を行い、同意を得る必要がある |
| 兵庫県「重要事項説明書及び契約書のガイドライン」(令和6年版) | 重要事項説明書に、変更を利用者に通知する方法と、同意を確認する方法を記載する |
国の条文には変更の手続がなく、変更時の説明と同意は、Q&Aと通知で示されています。 どの利用者に、どの方法で、いつまでに行うかは、事業所を指定した自治体の取扱いに従います。
令和6年度の改定では、国のQ&Aは説明と同意をどう示しましたか?
令和6年度の改定は、4月施行のサービスと、6月施行のサービス(訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・通所リハビリテーション)に分かれ、処遇改善加算の一本化などは全サービスで6月施行でした。 「利用者・家族等に対して、改定内容の説明をいつどのように行うべきか」という問(問181)に、厚生労働省のQ&A(Vol.1・令和6年3月15日)は次のように答えています。
本来、改定に伴う重要事項(料金等)の変更については、変更前に説明していただくことが望ましいが、4月施行の見直し事項については、やむを得ない事情により3月中の説明が難しい場合、4月1日以降速やかに、利用者又はその家族に対して丁寧な説明を行い、同意を得ることとしても差し支えない。6月施行の見直し事項については、5月末日までに、利用者又はその家族に対して丁寧な説明を行い、同意を得る必要がある。
同じ答えは、続けて2つの取扱いを示しています。 事前に6月以降分の体制等状況一覧表を自治体に届け出た事業者は、4月施行の見直し事項と6月施行の見直し事項の説明を1回にまとめてよいこと。 5月末日までに新たにサービスの利用を開始する利用者には、利用開始時の重要事項説明のときに、6月施行の見直し事項を併せて説明してよいこと。 この答えは、説明の方法(紙か口頭か電子か)や、署名の要否には触れていません。
署名・捺印を求めない例を示した国の通知(Vol.740)は、何を認めていますか?
厚生労働省の事務連絡「令和元年度介護報酬改定により変更される重要事項説明書の取扱いについて」(介護保険最新情報 Vol.740)は、次のように書いています。
重要事項説明書は、内容の変更を行う場合、あらためて説明を行い、同意を得ることが適切と考えられます。しかしながら、今般の介護報酬改定は消費税率引上げに伴う臨時・特例的な対応であることを踏まえ、これに伴う重要事項説明書の変更にあたっての利用者又はその家族への説明及び同意については、利用者の保護の観点並びに事業者の事務負担軽減の観点から、各介護事業者の判断により、例えば次のような対応を取ることも可能と考えられます。
【対応の例】利用者負担額改定表を紙で配付する等を行った上で、利用者又はその家族へ説明し、理解を得る。その場合、利用者負担額の改定に同意した旨の署名・捺印は必ずしも要しないが、各介護事業所は以上の説明を行った日時・方法・対象者を明確に記録し残しておくこと。
読み取れることは3つです。 1つ目は、変更時の原則が「あらためて説明を行い、同意を得る」ことです。 2つ目は、署名・捺印を求めない対応の例が、「今般の介護報酬改定は消費税率引上げに伴う臨時・特例的な対応」を理由にしていることです。この通知には、他の改定にも同じ扱いが当てはまるとは書かれていません。 3つ目は、署名・捺印を求めない場合でも、説明した日時・方法・対象者を記録に残すよう求めていることです。
令和6年度の改定では、自治体は継続利用者の契約をどう取り扱いましたか?
久留米市は、令和6年3月15日付で、各介護サービス事業所の管理者あてに「令和6年度介護報酬改定に伴う重要事項説明書及び契約書の取り扱いについて」を出しています。内容を表にします。
| 対象 | 久留米市の取扱い |
|---|---|
| 令和6年4月1日以降に契約する利用者 | 新しい重要事項説明書を使って説明し、同意を得る。契約書も様式を見直した上で、新しい契約書の様式で契約する |
| 令和6年3月31日以前に契約済みの継続利用者 | 新しい重要事項説明書の交付と再契約は不要。ただし、利用者又は家族に丁寧な説明を行い、同意を得る必要がある。方法は、改定事項を記載した書面等(利用者負担額改定表や新しい料金表等)で説明し、同意を得る等 |
| 時期 | 本来、新しい料金でのサービス提供は同意を得てからになる。今回の報酬改定に伴う同意については、令和6年4月末日までに、事業所のすべての利用者に対し、遺漏なく対応する |
この通知は、「令和6年度介護報酬改定に係る事項に限定」した取扱いで、その他の事項の変更は従前どおりと書いています。 継続利用者の再契約を不要としたのは久留米市の扱いで、他の自治体が同じとは限りません。 国のQ&A(問181)は、4月施行分を3月中に説明できないやむを得ない事情があるときに「4月1日以降速やかに」としていますが、久留米市は、管内の事業所に「令和6年4月末日まで」の期限を示しています。
保険外の費用の説明と同意は、改定とは別に必要ですか?
運営基準の第20条は、利用料等の受領の条文です。第3項は、前の2項の支払のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅で訪問介護を行う場合は、それに要した交通費の支払を利用者から受けることができる、と定めています。 続く第4項は次のとおりです。
指定訪問介護事業者は、前項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、利用者の同意を得なければならない。
この条文に、報酬改定のときの特例は書かれていません。 保険外の費用の説明と同意は、報酬改定の説明とは別に、その費用がかかるサービスの提供に当たって求められます(訪問介護の条文で確認。ほかのサービスは、それぞれの条文を見ます)。
重要事項説明書には、変更の通知と同意確認の方法を書くのですか?
兵庫県のガイドライン(令和6年版)は、重要事項説明書に書く項目として「(22)重要事項の変更」を挙げています。 重要事項説明書に書いた内容に変更が生じることが予想される場合や変更された場合に、利用者にその内容を通知する方法(書類を交付して口頭で説明する、郵便で通知する等)と、利用者への同意確認の方法を記載する、という内容です。
同じガイドラインは、契約書について、重要事項説明書に書いた内容を契約内容の一部とする場合は、必ず契約書に重要事項説明書を添付し、一体のものとして交付する、としています(第3 契約書 1(4))。 重要事項説明書を契約内容の一部にしている事業所は、その変更が契約の内容の変更でもあるかを、指定した自治体に確認しておきます。 兵庫県のガイドラインは兵庫県が示したもので、他の自治体にそのまま当てはまるとは限りません。
報酬改定のときの説明と同意は、電子でもできますか?
運営基準の第217条第2項は、交付、説明、同意、承諾、締結その他これらに類するもののうち、書面で行うことが規定されている、または想定されるものについて、相手方の承諾を得て、書面に代えて電磁的方法によることができる、と定めています。 変更のための説明と同意を、電子で行ってよいかを個別に書いた条文は、確認した範囲にはありませんでした。 電子で行う場合の承諾の取り方は、重要事項説明書の電子交付の記事で整理しています。
報酬改定のたびに、事業所で点検することは?
国のQ&Aと通知、自治体の原文から読み取れる点検を、5つにまとめます。 この記事で確認したのは、令和元年度と令和6年度の改定に関する文書です。直近の改定は、国と指定した自治体の最新の通知を見ます。
- 1改定の前に、国のQ&Aと指定した自治体の通知を探す。久留米市の通知は、4月1日施行の改定に対し、3月15日付でした。自治体によって、説明と同意の方法も期限も違います。
- 2施行日が分かれるときは、サービスごとの施行日で説明の時期を決める。令和6年度は、4月施行と6月施行がありました。Q&Aは、6月施行分は5月末日までに説明して同意を得る必要があるとしています。
- 3継続利用者への説明の方法を決める。改定事項を書いた書面(利用者負担額改定表や新しい料金表)を用意し、対面・郵送・電子のどれで説明して同意を得るかを、重要事項説明書に書いた「変更の通知と同意確認の方法」と合わせます。
- 4利用者ごとに、説明した日時・方法・対象者を記録する。国の事務連絡(Vol.740)は、署名・捺印を求めない場合でも、この3つを明確に記録して残すよう求めています。
- 5保険外の費用(交通費など)を変えるときは、報酬改定とは別に説明と同意を得る。運営基準の第20条第4項は、あらかじめ、内容と費用を説明して同意を得ることを求めています。
トリカワスでは、改定後の料金表と変更同意書をどう扱いますか?
トリカワスは、契約書・重要事項説明書・同意書を、PDF や Word のまま登録して使う電子サインのサービスです。 改定後の料金表(重要事項説明書の別紙)や、事業所でお使いの変更同意書も、そのファイルを登録して署名をいただけます。 タブレットで説明して署名をいただき、その場にいないご家族には、メールで署名用のリンクを送れます。 事業所の控えは PDF で保管され、利用者名や締結日で探して印刷できます。 継続利用者の方への説明をいつ、どの方法で行うかは、事業所を指導する自治体の取扱いによります。この記事は、国のQ&Aと通知、久留米市・兵庫県の原文で確認できた範囲です。 月額は建物1棟あたり4,980円(税込)です。30日間無料。クレジットカードの登録は不要です。
出典・確認日
- ・e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)第8条・第20条・第217条
- ・厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1225「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」(令和6年3月15日)問181。2026年10月29日に取得して原文を確認
- ・厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.740「令和元年度介護報酬改定により変更される重要事項説明書の取扱いについて」(令和元年9月18日)。2026年10月29日に取得して原文を確認
- ・「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号)第3の一の3(2)。全老健 介護保険制度情報サービス「法令・Q&A検索システム」掲載の令和6年7月2日更新版を、2026年11月5日に取得して原文を確認
- ・久留米市「令和6年度介護報酬改定に伴う重要事項説明書及び契約書及の取り扱いについて」(5介保第7616号・令和6年3月15日)。2026年10月29日に取得して原文を確認
- ・兵庫県「重要事項説明書及び契約書のガイドライン(令和6年版)」第2 重要事項説明書 1(22)・第3 契約書 1(4)。2026年10月29日に取得して原文を確認
本記事の制度に関する記述は 2026-10-29 時点で公開されている情報に基づきます。制度・様式は変わることがありますので、最新の内容は発出元と、指定を受けている都道府県・市町村でご確認ください。